最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)127号 判決
主文
本件各上告を棄却する。
理由
各被告人の辯護人長谷川俊夫の上告趣旨第一點について
しかし刑法住居侵入罪の「故なく」とは正當の事由なくしての意であるから、強盜殺人の目的を以て他人の店舗内に侵入したのは、すなわち、故なくこれに侵入したものに外ならない。そして住居權者の承諾ある場合は違法を阻却すること勿論であるけれども、被害者において顧客を裝い來店した犯人の申出を信じ店内に入ることを許容したからと言って、強盜殺人の目的を以て店内に入ることの承諾を與えたとは言い得ない。果して然らば被告人等の本件店屋内の侵入行爲が住居侵入罪を構成すること言うまでもないから論旨はその理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって刑訴第四百四十六條により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎)